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五行歌雑誌「ハマ風」の歌紹介ブログ
by machako-hamakaze
ICELANDia
,
【管理人】 岡本まさ子
【著 書】 五行歌集
       「宙で寝返り」

【プロフィール】
五行歌雑誌「ハマ風」編集してます。
・藤沢日曜歌会の代表をしています。

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100回記念歌会 藤沢日曜歌会 ありがとうございました<m(__)m>

おかげさまで、藤沢日曜歌会は100回を迎えることができました。
お花見や朗読、いも煮会歌会など、回数を数えない時もあったので、
本当はもう少し前だったかもしれませんが(と、覚えていない代表^_^;)
とにもかくにも、皆様のお蔭でこうして目出度い回数を迎えることが
できました。

そして、ずっと会計をしてくださり、私の心の支えとなってくださって
いるH野さんに、ようやく会計の御礼を本当に、些少ですが
(なんと言っても、受け取ってくれなかったもので・・・会計が承諾
しないと、だめだから・・笑)受け取っていただくことができて、
ホットしています。
本当にありがとうございました。これからもよろしくお願いします。

そして、3月は向井文丸さんを偲ぶ会である「しじま会」でもあります。
向井さんをご存知の方も、ご存知ない方にも、すばらしい歌人が
いらしたことをお伝えしたくて、3月は向井さんにちなむ題詠と
自由詠の2首をだしていただいております。

今回は「椅子」でした。
たくさんの秀歌のご投稿いただきました。


車椅子の席で喜ばれる
文丸さんの笑顔が
私の瞼に浮かんで来ます
「100回記念歌会
皆さん、おめでとう!」

 題詠「椅子」の1番に置かせていただきました。
 まさに向井さんがいらしたお席が、その笑顔やコメントをおっしゃる時の
 真剣なお顔が目に浮かびます。
 きっと喜んでくださっていると、私も思います。


静寂の中に椿の花
庭に面した廊下に
それは在る
家族が一度は座って
まどろんだ古い籐の椅子

 一時代前の日本映画のシーンのような風景。
 その椅子の場所を語り、そして、それは家族が座ったことを覚えていて
 くれるような気がします。
 籐の椅子だからこそ、柔らかい感触が、思い出の人の温もりまでが
 伝わってくるような・・・


背もたれと弾力が
気に入って
手に入れし椅子
秘かにアダムの膝の上と
名付けおく

 なんとも、色っぽいというか、上品なエロスの香り。
 よほど掛け心地が良いのでしょう。
 男性から、「ア」と「マ」を変えると、全然違った歌になる・・・と・
 なるほど、「マダムの膝の上」となると、もっと妖しい?


牙をむいていた 私の
居場所が
そこにあった
表現していいんだと 知った
窓辺の椅子

 この気持ちがよくわかります。個性は受け入れられないと、人にも自分にも
 牙になってしまうことがあります。
 そして、それを押し込めて生きていくのは辛い。孤独でもあります。
 私が五行歌を始めて、この4行目と同じことを知りました。
 作者も、そうだったと、コメントされていました。


私の歌

山のかたち
雲のかたち
どこにでもあります
思い出のあなたが
座る場所は

 これは、向井さんだけでなく、今までに交流があった、歌友への
 鎮魂歌です。忘れません。


自由詠

トツー ツートトツー
昨日(きのう)と先程(さっき)を混同しても
70年前の逓信省勤めの
モールス信号は
今なお 母に健在

 いやあ、すごいですね。70年前ですか。
 逓信省とう役所に懐かしい響きを感じます。私の亡父も昔逓信省に
 勤めていました。関東大震災の時まで。お昼休みに芝生の上でくつろいで
 居た時、地震が襲ってきたそうです。
 それはともかく、この1行目の信号は「今」という意味とか。
 「今」「昨日」「先程」と、時間をうまく使って、お母様への賛歌になっています。


夢をみよう
れんが畑の紅
浜ひるがおが延びる浜
流れのメダカの銀のひらめき
想像力はまだ残っていたよ

 夢にでも見なければ、もうこういった光景は見られなくなったのでしょう。
 豊かな自然、科学、化学が幅をきかせる前のごく普通にあったこの
 風景。
 作者の想像力は素晴らしい。作者がまたあのK子さんだと知るとなお
 味わい深い。


雪だるま残して
梅に桜と咲いていく
ながーい日本列島
おお、菜の花畑が花盛り!
ハ、ハ、ハ、ハ、春ですねえ

 一昔前のキャンディーズの歌を思い起こさせます。
 ながーい日本列島の春をリズムに乗って、思わずメロディもつけたく
 なります。5行目、ハ、ハ、ハ、ハ、の後に、花粉症の人だったら
 ハーックション と付けたくなるかも・・・笑


迷ったままの
思惑のせて
春の風に
失速していく
紙飛行機

 紙飛行機は風に乗ったら、どこまでも飛んでいきそうなのに。
 迷いという思いが「重く」、失速していったのか。
 青春の迷いが感じられます。
 どこまでも、と飛ばしたかった夢、恋、理想。


私の歌

旅立ちに
微笑みうかべた
あなたのくちびる
さくらの蕾が
紅さすような

 2月に亡くなられたお二人に、最期の別れをさせていただいた時、お二人とも
 わずかに微笑むでおられるようで、その唇はうっすらと紅をさして
 おられました。「おくりびと」という映画が賞をとりました。観てはいませんが
 こんな気持ちでしょうか。
 寂しさ、悲しさの中に、故人が豊に生きられたのではないかと感じられた、
 少しだけほっとさせられた、そのくちびるの紅。
 
by machako-hamakaze | 2009-03-08 17:00
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