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五行歌雑誌「ハマ風」の歌紹介ブログ
by machako-hamakaze
ICELANDia
,
【管理人】 岡本まさ子
【著 書】 五行歌集
       「宙で寝返り」

【プロフィール】
五行歌雑誌「ハマ風」編集してます。
・藤沢日曜歌会の代表をしています。

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はなみずき(4月22日)

このところ、朗読会準備と歌集発送準備など、手間取ることが
多くて、旅行のときよりも更新ができません。

今日は横浜水曜歌会で夜なので、朗読会プリントなどを印刷
しながら、ちょっと更新を。


終の棲家だった
ホームを出て立ち止まり
も一度振り返る
春霞に見えぬ
富士の山と亡母の姿

 なんとも切ないお歌です。
 
 春愁ということばがぴたりとあたるような・・・
 親をなくしている私にはとても共感できます。

 歌を読むときはやはり順番に1行目から読んでいきます。
 そうするとこのお歌は4行目までは、作者が「終の棲家」の
 ホームから出て~というふうに思えます。

 5行目まで来て、お亡母さまの「終の棲家」だったとわかる
 のですが、そこまでいかないでわかるようにされると、
 読み手はもっとわかりやすいかもしれません。

 でも、4・5行目を言いたいがために、作者はこの形をとられた
 のでしょう。


友人の問いに
「母ちゃんに悪いじゃん」
と 拡げたお弁当
見えパンにかかとを踏みつけた靴
15時の車内 高校生たち

 電車内で4行目のような学生を見れば、つい眉をひそめたくなる
 のですが、そんな気持ちを良いほうに裏切る言動です。

 きっと、残してしまったお弁当なのでしょう。でも、母親というものは
 作ったお弁当箱が空になって返ってきたときの、胸にわきあがる
 うれしさは譬えようもないもの。そんな母の気持ちを、この子は
 わかっているのでしょう。

 みんなと同じにしなくちゃ、という「見えパンにかかとを踏みつけた
 靴」をはいてはいても、親を思う心をもつ少年。うれしいお歌。


昇降口の下駄箱に
誇らしげな傘と長靴
急な雨の日
野良仕事のない
母からのプレゼント

 こちらは親心のお歌ですね。
 いつもは野良仕事でお忙しいお母様だったのでしょう。
 
 雨の日は作業ができないけれど、母親としての役目を果たせた、
 おかれた「傘と長靴」には、お母様のうれしい気持ちが表れて
 いた。作者が一番誇らしく思ったのでしょうね。

 そういえば、中学生のころ、たいくつな補習授業を生意気な
 私はサボっていた時のこと。
 同じく大雨が降ってきたのですが、父が私に傘をとどけに
 教室までやってきたのでした・・・余計なことをして!と父に腹を
 たてつつも内心はとってもうれしかった・・

 しかし!先生には叱られたのは言うまでもありません。
 父はというと、そんな私を面白がってくれたのでした。
 天国のお父さん、うれしかったよ、そしてごめんね。
by machako-hamakaze | 2010-05-19 10:30
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