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五行歌雑誌「ハマ風」の歌紹介ブログ
by machako-hamakaze
ICELANDia
,
【管理人】 岡本まさ子
【著 書】 五行歌集
       「宙で寝返り」

【プロフィール】
五行歌雑誌「ハマ風」編集してます。
・藤沢日曜歌会の代表をしています。

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第3水曜日の夜は横浜歌会

さすがに、神奈川で一番古い歌会だけに、
今月も21名のご出席でにぎやかです。

いつも採点集計など担当してくださるHさんが
ハマ風編集で一番忙しい時期なので、明日あたり
から忙しくなる私がお手伝いしました。

いいお歌、楽しいお歌がいっぱいです。


私の体は
新任地の都会の
空を飛んでいるのに
私の体の影は田舎の
地面を這っている

 この気持ちはよくわかります。私も田舎は東北。
 上京してからしばらくは、体が宙に浮いているような
 感じでした。体の影というのは心のことでしょうね。
 体と影は離れられないはずなのに、故郷の香りを
 かぐように地面を這っているのでしょうね。


月面から昇る
「満地球の出」にらむ
衛星「jかぐや」なる
科学の視力
まさに神の目の域

 「満月」ならぬ「満地球」という言葉を初めて知りました。
 先端の科学を詠うのに文語調。もう、作者はあの
 方しかいないでしょう・・・と。


息を吹きかけた
手のひら
おでこに 目尻に
ピタッ ペタッ ピタッ
ほんわか シワ取りアイロン

 こんな手軽なシワ取りアイロンがあるなら、女性なら
 使わぬ手はありません。でも疑り深い私は2点いれながらも
 作者を確かめてから・・と。作者は横浜歌会随一の美女の
 Mさん。ふん、前からシワなんかないじゃない、と少々
 ひがみつつも、今晩からやらねばと決意した私でした(笑)


やっと道が広くなって
快適だ
気がつくと
幅がわからない
荒れた路も回り道もいい

 このお歌は4行目までは自由になられた作者が、少々戸惑いを
 感じるほどの自由さを詠っておられるのがよくわかります。
 でも、5行目が飛んでしまいます。3,4行目がなくて5行目なら
 わかります。このお歌の魅力は3,4行目だと思いますから、
 5行目を工夫されるか4行目から5行目の改行に一工夫されると
 とても深いお歌になって、またわかりやすいと思うのです。

 欠席歌から

あたたかな
春陽
浴び
地球を
休む

 たった14文字の五行歌。ここまで短いと言いたいことがわかり
 にくくなるものだが、このお歌はじわっと作者の思いが伝わって
 くる。何かと騒がしい世の中、年金だ、後期高齢者だ、エコだ、
 公害だ、温暖化だと、落ち着かないこの地球まるごと、何ある
 しらんと注ぐ春陽をあびて本日休業の札をたてたようだ。
# by machako-hamakaze | 2008-04-18 18:20

4月第2週は歌会ラッシュ

6日のお花見歌会は晴天でしたが、第2週はお天気大荒れ
の日が多く、冬に逆戻りしたような日もありました。

電車の遅れもあり、「よくあんなお天気でも歌会したのね」と
おっしゃる方もありましたが、1人の欠席者もなく、ただ、
30分遅れで火曜歌会はスタート。

夫でもなく
恋人でもなく
友として
終世あなたを
保ちたい

 ぐっときてしまいましたねえ。ご主人のことと思われた方が大方
 でしたが、これはやはり別の方のことでしょう・・・
 覚えのある方も・・・5行目の「保ちたい」、抑えがきいていながら
 熱情も感じます。

口では言えなくて
ためらいながらも
ポストの底へ落ちていった
焦がれる思い文(ぶみ)
そして、叶うはずもなく

 う~む、これも恋の歌。作者は創作です、とおっしゃってらしたが、
 ポストには入れなかったとしても、胸に書き溜めた思い文は
 きっとどこかの恋のポストに投函されたのではと思います。

上大岡歌会

 地上30階の見晴らし抜群の歌会会場。

世界一周の友を見送った日
パンジーのを植える
華やぐ地表に彼女が重なる
一人旅
あふれる自由と孤独を慮る     慮(おもんばか)る

 なんと、華やかにして、寂しい歌でしょう。作者の心根のやさしさも。
 色とりどりのパンジーの華やかさと船の晩餐会での彼女の衣装が
 重なるのでしょうか。そしてそれは1人旅でもある。
 パンジーはパンセから来たというもの思う花。
 
 次は3席に入ったお歌ですが、意見の分かれたお歌なので。

ドレスの準備もOK
ステップもわかってる
雨のノックが始まりの合図
さあ遅れないように
花達よ 春の舞踏会へ

 このお歌は桜の花が散る直前を詠ったものであるという意見が大方
 でした。その読み取りのポイントになる言葉は「ステップ」「雨のノック
 が始まりの合図」「春の舞踏会へ」 でした。
 私は迷っていました。「ドレスの準備」「雨のノックが始まりの合図」
 というところで、これから咲かんとする花ではないか・・・と。それでも
 言葉の使い方の優美さと雰囲気で2点いれたのです。
 「雨のノック~」は花を咲かせるための雨と受け取りましたから。
 作者の本意はやはり、これから咲こうとする花だったと。
 この雨は「花おこしの雨」というそうです。読み取りの難しさですね。


鎌倉歌会
 
 今回なんとなく不思議な雰囲気のあるお歌が多かったですが、
 次号のハマ風に載るので控えますが、第一席は藤沢火曜歌会の
 アイドルK・Oさん(何と御氏年93歳)のお歌。鎌倉初出席で一席。九州から
 いらしていたTさんもその感性の若々しさにお口あんぐり。

あふれる
自由な時の流れ
蝶のようにとびたい
命の時間のわからないまま
桜は美しく巡りくる

 命あるものにとっては時は限りあるもの。特に人間はその時間を
 常にと言っていいほど意識しています。しかし、蝶はそうだろうか。
 美しく毎年咲くさくらはどうだろうか。
 そのように自由にとびたいものだが・・・


小さな島の静けさが
見えないものを
見せてくれる
桜の花びら
微かに開いてゆくような

 このお歌も人間がいかにめまぐるしくざわめく世界に住んでいるか
 を考えさせてくれます。1行目(が、を取って)を3行目に持ってくると
 もっとこのお歌が分りやすいように思えるのですが・・・


 鎌倉歌会での私の歌

綿入れの
綿を抜くように
空にもぐっている
春の
陽ざしをひっぱりだそう

 春らしさがどこかにもぐっていったようなこの週のことを、四月一日を
 (わたぬき)と読むことがちょっと頭にあったので。
# by machako-hamakaze | 2008-04-15 12:53

お花見即詠会

今週は歌会ラッシュで一度の更新では無理そうなので
31名のご出席もいただいた、お花見歌会をまずは
ご紹介します。

早くから桜が咲き、4月6日じゃあ、もう散ってしまい
葉桜じゃないの、という声の中、少々盛りはすぎたけど、
まだ花はいっぱい、そして時折の風での花吹雪と
ロケーションは充分の藤沢、新林(しんばやし)公園
での即詠。

そしてそれぞれが、会心(?)の咲くじゃなかった作を
手に、会場へ。
会場にはおいしいお弁当が待っています。

上席には惜しくも入らなかったけど、心に深く残る
作品数首。


椿に重なり桜が散り
日陰では
ゼンマイがクダを巻く
日向に一輪のタンポポ
春の宴はまだまだ続く

 作者曰く、いつも私の歌は盛りだくさん。でも桜だけではない
 春の草花を詠いたかったと。そう、いつもはもう少し絞ったら
 いかが?と言っている私も、このお歌には共感。「春の宴」が
 前の盛りだくさんを締めていますから。

待ちこがれた
美しい満開の時間(とき)を
おしげもなく散らせる
さくら さくら
春のまん中に咲く

 5行目で決まった!

花びらと一緒に
白い蝶がひらり
あなたの思いがそっと
きてくれたようで
嬉しいお花見です

 二月になくなられたコスモスの会員さんで、ハマ風のご投稿も
 してくださっていたMさんが、「今年の桜が見たい」とおっしゃって
 いらしたのを作者は思いだされ、白い蝶が彼女のように思えた。
 私もHさんもMさんをすぐに思い浮かべました。この作者はただ
 悲しむのではなく、Mさんの存在を感じ嬉しいと表現された。
 情感あふれるすぐれた追悼歌。


里山
春山
桜の広場
人のさざめき
ねこのあくび

 5行すべてが、名詞止。ことばの羅列にされなかったのは、行間に
 春の情感があり、ことばにリアリティがあったからですね。


山がはく息に
はがれ落ちる
うす衣
体温残し
春はゆく

 どこからか吹く風は山がはく息なのだろうか。はらはら散る花びらは
 山のうす衣。それを手にすると、ほのかにあたたかい。感性のお歌。
 
藤沢では珍しいちょっと官能的なお歌2首。

重なれば
重なり会う程
色を増す
散り落ちる桜も
また良しとしよう

ひとひらの
散りかたまでも
絵のように
酔わせて魅せて
おんな さくら

 最初のお歌の作者は男性。
 2首目は女性。
 やはり、1首目はある種客観的かな。2首目はご自身が
 さくらになりきっておられるような・・・

 あと、3つも歌会がありましたので、次の更新は早めにいたしますね。
# by machako-hamakaze | 2008-04-12 13:41

さくら満開、歌会満開

来週は歌会ラッシュなので、ちょっとビビッています。
それに、「ハマ風」と「南の風」共催の「風の大会」の
歌の締め切りも10日と迫っているので、パニック状態。

明日は日曜歌会恒例の「お花見歌会」です。
即詠。今年は花が早かったので、心配していましたが
もってくれて、花吹雪の中、風情ある吟行になるでしょう。

今週は、歌会一つと勉強会が一つありました。
やはり春らしい歌が多いですね。

サクラ前線が走る
春風のオブラートに包まれて
かたい蕾はほころびる
這えば立て 立てば歩めの
子育てに似て

 まだ、歌をはじめて間もない方ですが、サクラの蕾から
 咲くまでを、とてもユニークな比喩にされました。
 
 2行目も面白いのですが、なんと言っても4,5行目。
 確かに、かたい蕾を見れば、早くほころびないかなあ、
 ほころびれば、満開が見たいなあ(ちょっとゆっくりでも
 良いよ)と、あっという間の成長を惜しむ気持ちもある
 子育てに喩えられた。

 これこそ、胸によぎった思いを 素直に表現されて、
 生き生きとしたお歌になるという見本 のようなお歌。

 
洗濯機 回すこと五回
カーペット はがしてたたいて
もうクタクタ
春が
いたずらっぽく笑っている

 前3行に生活感のリアリティがあります。寒さが続いた
 あとの晴天に、主婦はおもいっきり家事にはげみます。
 ところが、4,5行目が急に詩的になってしまいました。

 よく、なんの後にでもつけられるという「それにつけても
 金の欲しさよ」とか「根岸の里のわび住まい」のような
 感じです。

 ところが、「もう、本当にくたくたで、春に 踊らされちゃった
 みたいで・・・」との、作者コメント。そこで私は黙っていられません
 でしたね。それ!それ!それー!!何故、それを書かれな
 かったの? 作者、推敲して「ハマ風」に投稿されるかも。
 楽しみです。

書き忘れていた私の歌

  少々辛いことあっても
  珍しいものを見ると
  「それ、食べられるの!」
  友よ、そうよ
  それが、われ等の活力

 3月にヨーロッパに行った時、見たことのない木の実(長い棘がびっしりの
 黒い実)がたくさんぶら下がっていたので、帰国して友にそのことを
 話した時のこと。彼女開口一番 「それ、食べられるの?」まったく私と
 同じなので、大笑いしました。彼女に捧げる歌です(怒らないでね)

勉強会

金曜日は埼玉で新しい方がたくさん来てくださっての勉強会。
「初めての五行歌」
歌会「はなみずき」のメンバーの方々が意欲的です。

最初に「五行歌って何だろう」と定番のお話のあと、皆さんに
質問していただきました。やはり、五行歌というと、いまだ
宗教的に聞こえるようです。また難しいのでは、漢字や
ことばを知らないのですが・・といったお声が。

だって、幼稚園の子供さんもかかれるのですから、難しい
漢字もことばも、必要ないのですよ。かえって、そういう
知識があるために、思いよりも、言葉にそれこそ、
踊らされることがあるのです。

後半はいろいろな五行歌の鑑賞です。

そして即詠もしていただきました。
そのうちの何首かを。

五行歌
やさしいようなむずかしいような
いざ書くとなると
いろいろな思いがうかび
今は何を書くか、うかばない

 そうですよね。急に、人前で思いを書くのは難しいです。
 歌会になったら、1人でゆっくり練ることができますよ。

あの古里の
田んぼ道
今年も また あそこに
じゃがいもの 花が
咲くだろうか

 もう、見事に五行歌ですよね。胸きゅんです。

春は花見に
行きたがる
桜の花びらちらほらと
風にのって
はしってる

 よく、観察されていますよね。4,5行目素敵です。
  
みなさん、ええぇ~ そんな、今すぐ書けないわ、無理無理と
おっしゃってらっしゃいましたが、やがてさらさらと・・・
 
「はなみずき」の皆さんの情熱で、五行歌の魅力をみなさんに
知っていただくことができました。

ありがとうございました。 
 
 私の即詠

小さな旅してきた
桜のはなびらが
ヘッドライトに
照らされて
舞う
# by machako-hamakaze | 2008-04-05 22:47

春ともなれば

さすがに、三月の末ともなれば、歌会での皆さんの
お歌も外の景色にあわせて百花繚乱です。

先日、スイスで見たたぶん早咲きのさくらだと思うのですが
その桜に雪がかぶっている姿をみて感動しました。
歌にしたかったけど、不思議に、風景に感動はしても
歌心がでてきません。夫曰く、情緒がちがうからじゃ
ないのかって・・・いつか書けたらいいなと思っています。

思うのですが、同じ花や草木を題材にとっても、歌会では
どうしても、人生が反映していないと、点数って入りにくい
ですね。

私は人生の深い感動も人情の歌も大好きですが
すてきな比喩に出会うとまたまたぞくぞくしてしまいます。

そういうお歌はたいていは「ハマ風」の選歌や巻頭に
とりあげられていますね。

今回は「こぶし、コブシ、辛夷」の歌を。

美しい
花嫁の登場
ウエディングドレスのように
辛夷が
満開

 あのこぶりな辛夷の花をウエディングドレスに喩えられました。
 ひとつひとつのお花のことではなく、その木いっぱいに
 わああっと咲くこぶしが、純白のウエディングドレスの
 胸元からふわっとして、波打つスカートの部分の飾りのようだと
 思われたのではないでしょうか?

 ひとつの花房と思ってしまうと、ちょっとわかりにくいかしら?

 別の会のお歌ですが、上席のお歌は「ハマ風」で、と思っていますが、
 ちょうどこぶし だったので。

空は青く青く広がり
こぶしの花は
ただ白く咲いている
私のちっぽけな迷いごとなど
笑いとばされてしまいそうだ

 こぶしの花がやはり木いっぱい、無垢な白さで咲いている。
 けれど、不思議にこぶしって、咲き誇っている感じがないですよね。
 作者はそんなこぶしをみて癒されたのでしょう。

さて、次はまたまたわが愚作でございます。
けっこう以前からこぶしは詠っています。演歌のこぶしはまわらない
のですが(あ、ついオヤジギャグの本性が出てしまった)

 去年の歌です。

コブシが
指ぱっちんを
しながら
春をビートにのせて
咲いてゆく

白く
小さな指が
チョキを出すように
こぶしの蕾が
ほころびた

 まったくの見たまま感じた比喩の歌です。
 大分前に、たしか「木に結び付けられたおみくじ」の
 ように見えたと詠った歌もありましたが・・・

 次回はきっとさくらのお歌の話題かな。
# by machako-hamakaze | 2008-03-29 18:49